11月23日の勤労感謝の日に、青梅にある小澤酒造が経営する澤乃井園のなかのバーべキューガーデンで、尺八の岸本寿男先生とギターの蓮見昭夫さんのライブがありました。先生からそのお知らせをいただき、furu さんや someori さんをお誘いしたのですが、それぞれご都合が悪くてあきらめようとしていたら、別にお誘いしていたお客様から、ぜひ行きましょうとご返事がありました。しかも、車でいらっしゃるとのことなので私は、ただ乗せていただければ、青梅に着いてしまうので、急に気が楽になってしまいました。そのころ、まだガラスジュエリー展の宛名書きもどっさりあって、冷静に考えれば絶対出かけてはいけない時期でしたが、車に便乗させていただける魅力と、岸本先生の尺八を奥多摩の自然のなかで聴ける楽しみに負けて現実を放り出し、大層心地よい車にちょこんと乗っておりました。
奥多摩方向に近づくと、空気がひやっとして窓からの木々も紅葉がはじまっていて、これから日常とはちがう時間を過ごすプロローグを感じさせてくれました。岸本先生からのアドバイスもあって、ライブの前に澤乃井園の中にある「櫛かんざし美術館」を訪ねることにしました。事前によく調べずに行ったのですが、その美術館のコレクションは岡崎智予さんの櫛かんざしのコレクションを基に構成されているとのことに、懐かしさと思いがけない再会のような不思議な気持ちになりました。三春堂では、工芸関係の本を扱っておりますが、興味があって昔、岡崎智予さんの「櫛かんざし」の写真集を置いておりました。同行してくださった方は昔、岡崎さんから直接櫛かんざしを見せていただいていたことが何度かあったそうで、このように偶然再会できて喜んでいらっしゃいました。個人の方が情熱をもって収集したものが、立派な美術館になって残った幸運を思うと、幸せな気分になります。ふと、その規模は及びもつかないけれど、三春堂が集めてしまった国内とイギリスの現代工芸の行き先はどうなるのでしょう。とても残せそうもなく、こちらはちょっと哀しい気分になりました。 収蔵品は櫛かんざしだけでなく、印籠、矢立、鬘など豊富で、季節で展示替えをするそうです。櫛かんざしは、女性の情念を強く感じる装身具なので、美しい工芸品というだけではない、なにか覗いてはいけない物語を秘めているようで、複雑な思いがしてしまいました。そのように使い手の業と作り手の業が出合ったとき凄い工芸が生まれるのかと思うと、更に複雑です。そんな気分を払拭するように展示室から庭に出ることができ、紅葉のなか渓谷の散歩をしばし楽しみました。 「櫛かんざし美術館」からいよいよライブのあるバーべキューガーデン「朱とんぼ」へ向います。多摩川を渡った反対側で野趣に溢れた入り口を入ると、まずポニーのゆずちゃんが優しく迎えてくれました。その周辺にはアンティークのレンガが国ごとに積んであって、とても綺麗な色と質感でした。このレンガをスライスして、外壁材として利用する提案などもしているようです。 1部と2部の間がバーベキュータイムとなりました。当日撮影した写真を見て呆れてしまったのですが、なんと、お料理や飲み物の写真をまったく撮っていなかったのです。きっと食べるのに忙しかったのです。とても豊富なメニューでしたので、パンフレットから転載します。 本日のメニュー ■里芋:旬の茹でた里芋(大鍋にたっぷりありました。とても柔らかく美味) ■ピザ:生地から手作り。石釜で焼く。トッピングは大根の葉。ソースは味噌味の和風ピザ。 (石釜に3時間前から、がんがんに火をおこしてました。3時間後に薪をかき出して余熱で焼くそうです。とてもさっぱりしたヘルシーで香ばしいピザでした) ■BBQ:串焼き、厚揚げ(ゆず味噌つけて焼く)、原木しいたけ(内沼きのこ園さんの)(しいたけ美味しかったです!) ■おでん:大根、こんにゃく、卵、ちくわ。 (匂いをかぎつけたのか、近くで子猫の鳴き声がして気になる何人かはちくわを細かくして、なぜかコソコソと陰のところにあげにいっていました。ワタシも) ■デザート:りんごジャム・トッピング・ピザ(さっぱり、かろやか)、甘酒(美味しくて温まりました) ■お酒:しぼりたて。本醸造大辛口。純米本地酒。武州伝説。スーパードライ(ビール) (飲み物はフリードリンクとのこと、お好きな方にはたまりませんね。岸本先生も蓮見さんもひときわニコニコして見えました) 1部の演奏は、先生のオリジナル曲が中心で、2部は、ポピュラーやジャズなどが中心でした。岸本先生と蓮見さんには絶妙のコンビネーションがあって、軽やかで楽しい演奏で、聴いていると暖かいものが優しく伝わってきます。さらに、奥多摩の自然のなかでの演奏は、とても清々しく、仕事を放棄してでも出かけないと味わえない1日でした。
by miharu-ando
| 2006-12-08 22:40
| 音楽・ライブ
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